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【書名】　北亞墨利加小舶之圖　マンハッタン號　 筒井肥前之守（筒井政憲）舊藏
【巻冊】　一枚
【著者】　幕府御用繪師畫
【成立】　弘化頃寫

「北亞墨利加小舶之圖」と記すこの帆船はマンハッタン號事件で知られる米國捕鯨船のマンハッタン號440屯である。弘化２年（1845）4月18日に漂流した日本人22人を乘せて初めて米國船が浦賀に入港した事件である。
マンハッタン號の船長のマーケイター・クーパーが日本を公式に訪れた最初の米國人となった。1843年11月9日にニューヨーク州ロングアイランドのサグハーバーを出港してマンハッタン號は南米ノケープ・ホーン岬を回り太平洋に出て西へと向かい約一年間にわたり捕鯨活動を行い1845年2月に小笠原諸島の父島に補給のため立ち寄った。
同年3月14日に食糧として海龜の肉を入手するため父島から鳥島を訪れた際にクーパーは海岸で難破船を發見してあたりを探索したところ遭難して漂着していた日本人11人を發見した。クーパーは日本人を救出し日本に向かったが、翌日も江戸からの歸路に難破していた小寳丸を發見し又も日本人11人を救出した。マンハッタン號は救助した日本人22人を乘せて江戸に向けて針路を取る。房総半島沖で日本の漁船に漂流した日本人を引き渡したいというメッセージを日本人2名に持たせて漁船に託して上陸させた。メッセージを受け取った幕府はマンハッタン號の入港を認めた。約300隻の日本船がマンハッタン號を曳航して浦賀に港させた。幕府の高官は友好的に對應して食糧や必要な物資を大量に渡したと云う。クーパーは幕府から書状を受け取り日本人救助に對する禮が書かれていたが、日本には二度と立ち寄らぬように求めるメッセージが記されたと云う。
4月21日に浦賀を出航したが太平洋を北上してカムチャッカで捕鯨を行った後に歸國した。クーパーは難破船にあった詳細な日本地圖『日本沿海圖』を入手して持ち歸り、後にペリーがそれを利用して浦賀入港の際に大いに役立ったらしい。
本圖には筒井肥前守の舊藏印は無いが、筒井の自筆史料群中にあった繪圖である。安積艮斎や栗本鋤雲が絶賛する名奉行であった筒井は同じく名奉行の川路聖謨と外國との交渉の全權代表に任命される要職を歴任。繪圖は極めて詳細で、星条旗の赤白交互のストライプは獨立時の13本を正確に描いている。

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